私の自動車五十年史 第八回
2017-02-22
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『私の自動車五十年史』 第八回 代表取締役会長 河村益孝
アルバイトは日頃の家庭生活と異なり、実社会という甘えの効かない状態の中で、
社会に出るまでの訓練として大いに役立った。
中身(考え方)は子供じみていても、体は大人としての骨格が出来、筋肉がつき、そ
れらしい体格が出来ると世間は大人としてみなし扱ってくれ始めた。
登下校の行き帰りは友人と様々なことを話しながらの楽しい時間でもあった。
今ならバス、電車、JRと田舎でも交通の便は良く、僅かな距離でもみな利用して
いるようだが、貧しかったその時代は一、二区間なら皆歩いての登下校で、愚痴るも
のは誰一人いなかった。
その折、他の仲間と比べて遅れを感じていたことの一つに「挨拶」があった。
学校までの田舎道、野良仕事中のご近所の人に良く出会ったが、友人達は出会うご
とに「おきばりやす」(精出して仕事をされている方への慰めの言葉)、 「おしまいや
す」(仕事を終え帰り支度の折の挨拶言葉)と特に改まることなく、気さくに声を掛け
ていた。
農家仲間、ご近所付き合いとしての自覚が既に出来ており、日頃バカ話をしている
友人達が随分大人じみて感じられ、そうした事が出来ずにいた事が恥ずかしく、一人
取り残された感じに陥ったこともあった。
(つづく)
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